2022年の日本映画。原作は2018年の平野啓一郎先生の小説。「愛したはずの夫は、まったくの別人だった」という衝撃の事実からはじまり、謎が解けていくにしたがって切なくなる。
当記事は、本作の簡単な概要と感想を書いています。
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あらすじ※ネタバレ注意※
弁護士の城戸は、かつての依頼人である里枝から、亡くなった夫・大祐の身元調査を依頼されます。里枝は、大祐との再婚後、幸せな家庭を築いていたものの、突然の別れに悲嘆に暮れていました。しかし、大祐の兄が遺影を見て別人だと告げたことから、彼女の穏やかな日常は一変します。
城戸は、大祐の足跡を辿る中で、彼が戸籍を偽り、全くの別人として生きていたことを突き止めます。大祐はなぜ、新しい人生を始めたのか。その動機は、彼の過去に深く根ざしていました。
物語は、大祐の過去と現在、そして彼を取り巻く人々の複雑な感情が交錯しながら進んでいきます。里枝は、愛した夫の真実を知り、大きなショックを受けます。一方、大祐の兄は、弟の秘密を抱え、苦悩します。そして、城戸は、依頼人の依頼を超えて、大祐の謎に深く関わっていくことになります。
主な登場人物
城戸 章良(妻夫木 聡)
物語のキーパーソン。亡くなった夫の身元調査を依頼された弁護士。事件の真相を追っていく中で、複雑な人間模様に巻き込まれていきます。
演じたのは、俳優の妻夫木 聡さん。爽やかな役柄を演じる印象が多いですが、本作では冷静沈着な弁護士役を演じておられます。
谷口 里枝(安藤 サクラ)
城戸に夫の身辺調査を依頼した妻。一度離婚して子供・悠人を連れて実家に戻り、文房具屋を手伝っていた。そこで、大祐がお客として来たことで出会う。大祐の死後に大祐が別人として生きていたことを知る。
演じたのは、実力派女優の安藤 サクラさん。幅広い役を演じておられて、国内外で高く評価されている女優さんです。
本作では、夫を亡くした妻役でいろいろな感情を複雑に表現されていました。
谷口 大祐(窪田 正孝)
谷口 里枝の夫。林業の仕事をしており、業務中の事故で亡くなった。谷口大祐を名乗っていたが、実は全くの別人で違う人の人生を歩んでいた。その理由には壮絶な過去があった。
演じたのは、俳優の窪田 正孝さん。悪役から爽やかな青年役まで幅広い役柄を演じ分ける俳優さんです。
本作では、壮絶な過去を抱える役柄を演じられています。ストーリーの最初の優しい感じから過去が明かされるにつれて変わる雰囲気が凄い。
後藤 美涼(清野 菜名)
本物の谷口 大祐の元彼女。バーに勤めている。城戸と会ったことで本物の大祐探しが一気に進展する。
演じたのは、アクション演技が多い女優の清野 菜名さん。映画・「キングダム」や「耳をすませば」など多くの話題作に出演されています。
本作では、芯がある強い女性を演じておられます。
谷口 恭一(眞島 秀和)
本物の谷口大祐の兄で実家の温泉旅館を継いでいる。大祐の訃報を受けて法要に訪れ、遺影を見て「大祐じゃない」と発言したことから物語は始まる。
演じたのは、俳優の眞島 秀和さん。コミカルな役柄からシリアスな役柄まで演じ分けられる俳優さん。
本作では、”冷たい兄”を演じておられます。出演されるシーンでは、場をピリッとした雰囲気に変化させる存在感があります。
見どころ
実力派俳優たちが出す物語の雰囲気に徐々に映画の世界に引き込まれていく作品でした。特に、窪田正孝さんが演じる”大祐”の人生を歩んでいた男の複雑な心情は、観る者の心を揺さぶります。
誰が何のために、なぜ別人として生きてきたのか?その謎を解き明かしていく過程で、人間の愛や喪失、そして生きる意味が問われる奥深いストーリー。「愛」「アイデンティティ」「生と死」など、様々なテーマが描かれており、観終わった後も”じわり”と心に残る作品でした。
感想
少し切なさが残るような、考えさせられる映画でした。
弁護士の城戸が真相を解明していくに連れて、違う人の人生を歩む気持ちがわかっていく様が少し切ない。ラストでは城戸が”ある男”として大祐の人生を借りて語るシーンで終わる。
自分のことを誰も知らない人たちのもとで、別の人の人生を歩んでいくってどんな感覚なのか、わかるような、わからないような映画を観ながらそんな変な感情になりました。もしかしたら、仕事などで新境地に行って生活し始めた時の感覚に少し似ているかもしれないとも思う。
そして、他人になりすまないと人生を変えれない、そんな人が実際に世の中にいるのかもしれない。
サスペンスが好きな方や「アイデンティティ」に関して、考え方におススメの作品です。
映画を観た方は、原作の小説も是非見てほしい。より深く考えることができます。